ピノキオの鼻は伸びない〜嘘とごまかしの中で〜

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　ここは、　　　　　　　　　　　　
　言葉だけが　　　　　　　
　存在する世界。　　　　　　　
　匿名の人達が　　　　　　　
　発した言葉だけが漂う。
　そこにあるのは
　ただ言葉だけ。
　意味も真偽も元々有り得ない。
　そんな世界で自分自身の
　アイデンティティーを
　確かに示していこうなんて
　無謀で愚かな行為に過ぎない。
　言葉を残した人物が
　果たして実在するのかさえも
　確かではないこの世界。
　つくりもののキャラクターと、　　　　
　いつわりの文体。
　借り物の台詞と他人の意見。
　嘘の情報とまやかしの演技。
　何だって大丈夫、チョロイチョロイ。
　何でも通ると、思い込んでる。
　この中であれば、
　ピノキオの鼻だって伸びはしない。
　「王様の耳はロバの耳」、
　「オオカミがくるぞ」といくら叫んでも、
　誰にとがめられる事もない。
　本当の人間なんてどこにもいない。
　真実なんてどこにもないんだ。
　こんな言葉の羅列の中には。
　真実はこんな画面の中にはない。

　真実はいつも「ココ」にのみ存在する。

　言葉を書き入れる貴方の胸の中、
　　　　　　 　　　　　　
　言葉を読みとるぼくの胸の中。

　言葉を書き入れるぼくの胸の中、

　言葉を読んでくれる貴方の胸の中。

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