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 狭い台の上で
 次々と ぼくの
 オリジナルパーツが取り去られていく。
 その作業の最中、
 ぼくは目の前の 不思議な空間を
 見つめ続けていた。
 それは、これまでに、
 どんな絵画でも、どんな映画でも
 目にした事のない映像。
 別の次元の世界の景色。
 明るさと 色と 深さとを
 刻々と混ぜ合って 変化して、
 そのうち 
 どちらが上で下なのか、
 自分がいったいどこにいるのか、
 ここが夢なのか、現実なのか、
 全てが混ざって、ひとつの映像になる。
 そこに浮かぶのは胎児の姿か、
 ゆらめく水面は羊水か。
 そこに浮かぶのは宇宙ステーションか、
 ゆがんだ空間はワープゾーンか。
 あれは何だ?
 ここはどこだ?
 あの光は幻か?
 この感覚は現実か?
 別の次元との境にあって、
 幻惑のゲートに見入られながら、
 ぼくが感じた確かなものは、
 この身を包む あたたかなエナジー。
 神経の痛みをほぐすかのような
 不思議と落ち着く 安らぎのパルス。
 こいつに包まれている限り、
 きっと大丈夫。
 そうした勇気をくれたエナジー。
 作業の終了が告げられると同時に、
 不思議なビジョンは暗黒に戻る。
 再び暗黒が去ったとき
 現われる世界は、
 はたしてどんな世界だろうか?
 何の変哲もない普通の世界と
 ぼくは再会できるのだろうか?
 
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晶

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